実践! 心不全療養指導
定価 3,520円(税込) (本体3,200円+税)
- B5判 208ページ 2色,イラスト80点,写真10点
- 2023年3月17日刊行
- ISBN978-4-7583-2200-3
電子版
序文
序
社会の急速な高齢化と循環器急性期診療の発展を背景に,わが国の心不全患者数は増加の一途をたどる「心不全パンデミック」の状況にあります。心不全医療では,心不全未発症段階のステージA,Bにおける生活習慣の改善などを含めた予防対策と同時に,ステージC,Dでは症状を抑え,再発・再入院を防ぐ治療が望まれています。再入院の予防には,セルフケア支援も含めた患者教育・支援が重要であることはいうまでもありません。さらに,心不全患者の高齢化が進んでいるため,多病,フレイル,認知症などが心不全診療を困難にする大きな要因となっています。こうした要因を1つひとつ解決していき,治療効果を高めるためには,ステージAからステージDまでのさまざまな病態にある患者の身体機能,心理,認知機能,社会的側面などを含めた包括的なアプローチが必要であり,心不全医療において多職種によるチーム医療が欠かせない理由となっています。
チーム医療では構成メンバーの円滑なコミュニケーションが重要ですが,チームが最大限のパフォーマンスを発揮するには,チームメンバーである多職種の医療専門職が心不全医療における共通の知識をもつ必要があります。日本循環器学会が制度化した心不全療養指導士は,この共通知識を身に付け,心不全医療を担う多職種チームのなかで大きな役割を果たすことが期待されています。現在までに多くの心不全療養指導士が誕生し,各施設,地域では,さまざまな療養指導の取り組みがなされています。今後は多職種チームで具体的な症例を通して療養指導のあり方を議論し,さらに効果的な療養指導を目指す必要があります。
本書では,心不全療養指導の実践で必要な知識,特にわかりにくくつまずきやすい知識について,症例を基に解説し,修得した知識を確認できるよう練習問題も掲載しています。また,重要な概念や病態,進展ステージに応じた療養指導などは図表にまとめ,目で見て理解できる構成となっています。さらに,実際の療養指導のヒントや工夫,落とし穴の対策を「ワンポイントアドバイス」としてまとめています。
本書が,あらゆる場で心不全の療養指導に取り組むすべての医療従事者の実践活動の支えとなり,心不全医療の質の向上に少しでも寄与することを願っています。
2023年1月
九州大学大学院医学研究院循環器内科学 教授 筒井裕之
北里大学看護学部看護システム学 教授 眞茅みゆき
社会の急速な高齢化と循環器急性期診療の発展を背景に,わが国の心不全患者数は増加の一途をたどる「心不全パンデミック」の状況にあります。心不全医療では,心不全未発症段階のステージA,Bにおける生活習慣の改善などを含めた予防対策と同時に,ステージC,Dでは症状を抑え,再発・再入院を防ぐ治療が望まれています。再入院の予防には,セルフケア支援も含めた患者教育・支援が重要であることはいうまでもありません。さらに,心不全患者の高齢化が進んでいるため,多病,フレイル,認知症などが心不全診療を困難にする大きな要因となっています。こうした要因を1つひとつ解決していき,治療効果を高めるためには,ステージAからステージDまでのさまざまな病態にある患者の身体機能,心理,認知機能,社会的側面などを含めた包括的なアプローチが必要であり,心不全医療において多職種によるチーム医療が欠かせない理由となっています。
チーム医療では構成メンバーの円滑なコミュニケーションが重要ですが,チームが最大限のパフォーマンスを発揮するには,チームメンバーである多職種の医療専門職が心不全医療における共通の知識をもつ必要があります。日本循環器学会が制度化した心不全療養指導士は,この共通知識を身に付け,心不全医療を担う多職種チームのなかで大きな役割を果たすことが期待されています。現在までに多くの心不全療養指導士が誕生し,各施設,地域では,さまざまな療養指導の取り組みがなされています。今後は多職種チームで具体的な症例を通して療養指導のあり方を議論し,さらに効果的な療養指導を目指す必要があります。
本書では,心不全療養指導の実践で必要な知識,特にわかりにくくつまずきやすい知識について,症例を基に解説し,修得した知識を確認できるよう練習問題も掲載しています。また,重要な概念や病態,進展ステージに応じた療養指導などは図表にまとめ,目で見て理解できる構成となっています。さらに,実際の療養指導のヒントや工夫,落とし穴の対策を「ワンポイントアドバイス」としてまとめています。
本書が,あらゆる場で心不全の療養指導に取り組むすべての医療従事者の実践活動の支えとなり,心不全医療の質の向上に少しでも寄与することを願っています。
2023年1月
九州大学大学院医学研究院循環器内科学 教授 筒井裕之
北里大学看護学部看護システム学 教授 眞茅みゆき
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目次
Ⅰ章 心不全療養指導の基本の「キ」を押さえよう
1 療養指導・患者教育の基本的な考え方と基盤となる諸理論を理解しよう 仲村直子
2 心不全の概念を理解しよう 松島将士
3 心不全における予防の重要性を理解しよう 仲村直子
4 心不全療養指導に必要な身体所見と検査を理解しよう 水野 篤
5 心不全療養指導に必要な治療を理解しよう─薬物治療・非薬物治療・併存疾患の治療 堂垂大志,砂山 勉,末永祐哉
Ⅱ章 心不全療養指導を実践しよう
1 セルフケアとセルフモニタリングを理解しよう 岡田明子
2 定期受診・増悪時にどう対応する? 比嘉洋子
3 服薬アドヒアランスをどう評価し,支援する? 芦川直也
4 栄養管理をどう行う? 宮島 功
5 運動療法をどう行う? 齊藤正和
6 日常生活の心がけをどう支援する? 若林留美
7 心理的支援をどう行う? 西村勝治
8 認知機能障害を有する心不全の療養指導をどう行う? 鈴木裕介
9 患者を支える家族をどう支援する? 平野美樹
10 心不全の緩和ケアをどう実践する? 柴田龍宏
11 心不全チーム,心不全カンファレンスをどう運営する? 衣笠良治
12 病院と在宅・地域との連携をどう実践する? 伊東紀揮
Ⅲ章 実践した療養指導の評価・修正をしてみよう
1 症例報告書で実践した療養指導をどう振り返る? 若林留美
2 療養指導をどう評価し,修正する? 中野直美
1 療養指導・患者教育の基本的な考え方と基盤となる諸理論を理解しよう 仲村直子
2 心不全の概念を理解しよう 松島将士
3 心不全における予防の重要性を理解しよう 仲村直子
4 心不全療養指導に必要な身体所見と検査を理解しよう 水野 篤
5 心不全療養指導に必要な治療を理解しよう─薬物治療・非薬物治療・併存疾患の治療 堂垂大志,砂山 勉,末永祐哉
Ⅱ章 心不全療養指導を実践しよう
1 セルフケアとセルフモニタリングを理解しよう 岡田明子
2 定期受診・増悪時にどう対応する? 比嘉洋子
3 服薬アドヒアランスをどう評価し,支援する? 芦川直也
4 栄養管理をどう行う? 宮島 功
5 運動療法をどう行う? 齊藤正和
6 日常生活の心がけをどう支援する? 若林留美
7 心理的支援をどう行う? 西村勝治
8 認知機能障害を有する心不全の療養指導をどう行う? 鈴木裕介
9 患者を支える家族をどう支援する? 平野美樹
10 心不全の緩和ケアをどう実践する? 柴田龍宏
11 心不全チーム,心不全カンファレンスをどう運営する? 衣笠良治
12 病院と在宅・地域との連携をどう実践する? 伊東紀揮
Ⅲ章 実践した療養指導の評価・修正をしてみよう
1 症例報告書で実践した療養指導をどう振り返る? 若林留美
2 療養指導をどう評価し,修正する? 中野直美
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