NAVApedia
新生児NAVAのすべて
[Web動画付]
チームでとりくむケアと実践
定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
- B5判 264ページ カラー(一部2色), 綴込み別冊マニュアル(48ページ,総ページ数は別冊含む),イラスト20点,写真206点,Web動画(20本/12分)
- 2023年11月11日刊行
- ISBN978-4-7583-2143-3
電子版
序文
刊行に寄せて
NAVAは,本書にも寄稿してくださったトロント大学のChrister Sinderby先生とJennifere Beck先生ご夫妻が開発・普及に大きな役割を果たしました。Christer Sinderby先生は呼吸生理学者,Jennifere Beck先生は元NICUの看護師です。私達がトロント大学と縁が深かった関係でNAVAが本格的に臨床応用される前(2005年)からお二人は何度か長野,日本を訪れてNAVAの御講演をされていました。そして2015年にフィンランド・トゥルク大学のLiisa Lehtonen教授とHanna Soukka教授が盛岡での学会に来日・御講演されて,その後,早産児に多くの臨床経験のあるトゥルク大学と長野県立こども病院の交流が進んだことが,日本でNAVAが広く普及したことに大きな影響があったと思います。
2013年の冬に小田 新 新生児科部長と深尾有紀 NICU看護師長と一緒に,当時アジアで最も早くNAVAを臨床導入していたソウル大学ソウル小児病院を訪問した際に,Han-Suk Kim教授から「慢性肺疾患で苦しい呼吸が続いている赤ちゃんの呼吸器をNAVAに変更すると,赤ちゃんは呼吸が楽になって穏やかな表情になり,穏やかな表情の赤ちゃんを見て母親が喜び,そんな赤ちゃんと家族を見てスタッフが幸せになる」と印象的な話を聞きました。2015年のLiisa Lehtonen教授の講演で,「NAVAはFamily centered careの一環です」と聞いたときは「目からウロコ」でした。それからNAVAは一気に全国に広がりましたが,私が印象的なのは,本著書の執筆者に代表される若い新生児科医と看護師,臨床工学士のみなさんが大変熱心にNAVAの普及に関わっていることです。その理由は,もしかしてKim教授,Lehtonen教授のお話にあるようにNAVAが今の日本の若い新生児医療スタッフが目指す「Family centered care」と深い関係があるのかもしれません。
2022年初頭に小田新先生から「“NAVAワークショップ”を開催してきた仲間とその成果を著書にしたい」と懇願され,本書の刊行となりました。本書はNAVAの基本と臨床応用について解説した世界初の著書です。特にNAVAの特徴である横隔膜電位を数値化したEdiは,今までの胸郭の動きを視覚的に定性判断していた「呼吸努力」「呼吸筋力」を定量的,経時的に情報収集できることが詳細に解説されており,今後,新生児の呼吸管理法がさまざまな方面で研究が進むと思います。まさに本書から「新生児呼吸管理が進化」し,日本の新生児医療がさらに世界をリードしていくことと確信しています。最後に,本書の発刊にご尽力頂きましたメジカルビュー社第一編集部 工藤亮子氏に深謝いたします。
2023年 10月
長野県立こども病院 病院長
中村 友彦
-----------------------------------
序文
NAVAワークショップ実行委員会とは,本書を作成するにあたり命名されたおカタい名称で,我々自身は“NAVArs”とか“NAVA lovers”などと自称していました。NAVAが好きな人たちの集まりです。NAVAが日本に導入された2013年からちょうど10年経過した2023年に本書を出版することができ,我々は大変嬉しく思っています。
NAVA成功の秘訣は多職種で協働することだと思います。医師だけでなく,看護師さんや臨床工学技士の方々にも本書を活用していただけたらと思います。本書は教科書でもあり,トリセツでもあり,マニュアルでもあります。
本書は最初にNAVAの歴史や理論的な部分を教科書として記載しています(第1〜3章)。また特に看護師さん向けに,我々の誇るNAVAナースが,鋭い視点でNAVAの実際を解説しています(第4章)。症例集(第5章)は現場の臨場感が伝わる「あるある症例」です。うまくいったケースだけでなく,うまくいかなかったケースも率直に書いています。負け試合から多くを学ぶべきです。そして本書の目玉はタイトルにもなっているNAVApediaです。Q and A形式で,語りかけるように我々がNAVAに関する疑問点を答えています。ある程度NAVAに慣れている方は,ここから読んでみることをお勧めします。一部マニアックな話も出てきますが,非常に実践的ですし,NAVAの良いところ,まだまだこれからなところがわかると思います。まだNAVAに慣れていない方には,第7章に実際の施設の設定やコツなどを盛り込みました。きっと参考になると思います。そして第8章はFamily centered careとNAVAについてです。NAVAやEdiはFamily centered careと親和性が高いです。どうしてそう言えるのかは,是非読んでいただければと思います。これからの新生児医療のあるべき形が示されています。文献集(第9章)は独断と偏見ですが,参考となる文献をピックアップしました。我々からの論文も手前味噌ですが解説しています。味噌だけにしょっぱいコメントもありますので,味わってください。そして第10章と第11章は,切り離してベッドサイドで活用できるようにしています(失くさないように気をつけてください)。NAVAと赤ちゃんの傍で開いてみてください。必ずお役に立つと思います。
NAVAはまだまだこれからです。色々な可能性を秘めていると思う反面,これは不向きだなという局面もあります。どうぞ本書を参考にしてNAVAを使ってみて,より良い呼吸管理法を共に考えませんか? NAVAによって赤ちゃんたちと家族のHappyをさらに上の段階にできたら,そんな野望を抱いています。
ようこそNAVArsの世界へ。
2023年 10月
NAVAワークショップ実行委員会
長野県立こども病院 新生児科
小田 新
NAVAは,本書にも寄稿してくださったトロント大学のChrister Sinderby先生とJennifere Beck先生ご夫妻が開発・普及に大きな役割を果たしました。Christer Sinderby先生は呼吸生理学者,Jennifere Beck先生は元NICUの看護師です。私達がトロント大学と縁が深かった関係でNAVAが本格的に臨床応用される前(2005年)からお二人は何度か長野,日本を訪れてNAVAの御講演をされていました。そして2015年にフィンランド・トゥルク大学のLiisa Lehtonen教授とHanna Soukka教授が盛岡での学会に来日・御講演されて,その後,早産児に多くの臨床経験のあるトゥルク大学と長野県立こども病院の交流が進んだことが,日本でNAVAが広く普及したことに大きな影響があったと思います。
2013年の冬に小田 新 新生児科部長と深尾有紀 NICU看護師長と一緒に,当時アジアで最も早くNAVAを臨床導入していたソウル大学ソウル小児病院を訪問した際に,Han-Suk Kim教授から「慢性肺疾患で苦しい呼吸が続いている赤ちゃんの呼吸器をNAVAに変更すると,赤ちゃんは呼吸が楽になって穏やかな表情になり,穏やかな表情の赤ちゃんを見て母親が喜び,そんな赤ちゃんと家族を見てスタッフが幸せになる」と印象的な話を聞きました。2015年のLiisa Lehtonen教授の講演で,「NAVAはFamily centered careの一環です」と聞いたときは「目からウロコ」でした。それからNAVAは一気に全国に広がりましたが,私が印象的なのは,本著書の執筆者に代表される若い新生児科医と看護師,臨床工学士のみなさんが大変熱心にNAVAの普及に関わっていることです。その理由は,もしかしてKim教授,Lehtonen教授のお話にあるようにNAVAが今の日本の若い新生児医療スタッフが目指す「Family centered care」と深い関係があるのかもしれません。
2022年初頭に小田新先生から「“NAVAワークショップ”を開催してきた仲間とその成果を著書にしたい」と懇願され,本書の刊行となりました。本書はNAVAの基本と臨床応用について解説した世界初の著書です。特にNAVAの特徴である横隔膜電位を数値化したEdiは,今までの胸郭の動きを視覚的に定性判断していた「呼吸努力」「呼吸筋力」を定量的,経時的に情報収集できることが詳細に解説されており,今後,新生児の呼吸管理法がさまざまな方面で研究が進むと思います。まさに本書から「新生児呼吸管理が進化」し,日本の新生児医療がさらに世界をリードしていくことと確信しています。最後に,本書の発刊にご尽力頂きましたメジカルビュー社第一編集部 工藤亮子氏に深謝いたします。
2023年 10月
長野県立こども病院 病院長
中村 友彦
-----------------------------------
序文
NAVAワークショップ実行委員会とは,本書を作成するにあたり命名されたおカタい名称で,我々自身は“NAVArs”とか“NAVA lovers”などと自称していました。NAVAが好きな人たちの集まりです。NAVAが日本に導入された2013年からちょうど10年経過した2023年に本書を出版することができ,我々は大変嬉しく思っています。
NAVA成功の秘訣は多職種で協働することだと思います。医師だけでなく,看護師さんや臨床工学技士の方々にも本書を活用していただけたらと思います。本書は教科書でもあり,トリセツでもあり,マニュアルでもあります。
本書は最初にNAVAの歴史や理論的な部分を教科書として記載しています(第1〜3章)。また特に看護師さん向けに,我々の誇るNAVAナースが,鋭い視点でNAVAの実際を解説しています(第4章)。症例集(第5章)は現場の臨場感が伝わる「あるある症例」です。うまくいったケースだけでなく,うまくいかなかったケースも率直に書いています。負け試合から多くを学ぶべきです。そして本書の目玉はタイトルにもなっているNAVApediaです。Q and A形式で,語りかけるように我々がNAVAに関する疑問点を答えています。ある程度NAVAに慣れている方は,ここから読んでみることをお勧めします。一部マニアックな話も出てきますが,非常に実践的ですし,NAVAの良いところ,まだまだこれからなところがわかると思います。まだNAVAに慣れていない方には,第7章に実際の施設の設定やコツなどを盛り込みました。きっと参考になると思います。そして第8章はFamily centered careとNAVAについてです。NAVAやEdiはFamily centered careと親和性が高いです。どうしてそう言えるのかは,是非読んでいただければと思います。これからの新生児医療のあるべき形が示されています。文献集(第9章)は独断と偏見ですが,参考となる文献をピックアップしました。我々からの論文も手前味噌ですが解説しています。味噌だけにしょっぱいコメントもありますので,味わってください。そして第10章と第11章は,切り離してベッドサイドで活用できるようにしています(失くさないように気をつけてください)。NAVAと赤ちゃんの傍で開いてみてください。必ずお役に立つと思います。
NAVAはまだまだこれからです。色々な可能性を秘めていると思う反面,これは不向きだなという局面もあります。どうぞ本書を参考にしてNAVAを使ってみて,より良い呼吸管理法を共に考えませんか? NAVAによって赤ちゃんたちと家族のHappyをさらに上の段階にできたら,そんな野望を抱いています。
ようこそNAVArsの世界へ。
2023年 10月
NAVAワークショップ実行委員会
長野県立こども病院 新生児科
小田 新
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目次
第1章 NAVAの歴史 [編集 小田 新]
1)開発者から
Neurally Adjusted Ventilatory Assis(t NAVA)の始まり
2)日本導入の歴史
医療現場から
3)日本導入の歴史:メーカーとして
NAVAの国内販売までの道のり
第2章 新生児とNAVA [編集 小田 新]
1)呼吸の基本と新生児の呼吸の特徴
2)新生児における人工呼吸の基本と問題点
3)なぜNAVAなのか:“NAVA推し”のワケ
第3章 NAVAの基本としくみ,使い方 [編集 小田 新]
1)Ediの基本
2)NAVAの基本
3)NIV-NAVAの基本
4)モニターの基本
5)NAVAの使い方
6)NIV-NAVAの使い方
7)NAVA,NIV-NAVAのメリット・デメリッ
第4章 NAVA,NIV-NAVAの看護 [編集 加藤勇太]
1)NAVAと看護:その視点と影響,注目点
2)NAVAの使用方法〜看護ver.〜
3)NIV-NAVAの使用方法〜看護ver.〜
4)NAVA,NIV-NAVAの教育方法,留意点
第5章 NAVA,NIV-NAVA症例集 [編集 平田克弥]
1)うまくいったケース:NAVA
2)うまくいったケース:NIV-NAVA
3)うまくいかなかったケース:NAVA
4)うまくいかなかったケース:NIV-NAVA
第6章 NAVApedia The Q&A for NAVA [編集 友滝清一]
設 定
適 応
体 格
Ediカテーテルの固定1
Ediカテーテルの固定2
Ediカテーテルのセンシング不良
Ediカテーテルの挿入
Ediカテーテル交換時期
Ediカテーテルの合併症
Ediカテーテルからの注入(栄養・薬剤)
SpO2低下時の対応
NIV-NAVAと経口哺乳
NAVAへの切り替え
NAVAを始めるときの工夫
「NAVA経験値」を下げない工夫
Ediを呼吸以外に活かす方法(診療編)
Ediを呼吸以外に活かす方法(看護編)
診断への活用
HFOV対NAVA
NAVAの加湿問題
Ediカテーテルと体位変換
コード類:ケア時の工夫
第7章 NAVAいろいろ 〜となりのNAVA〜 [編集 山田洋輔]
1)各施設のポリシー,テクニック
2)各施設 設定早見表
第8章 NAVAとファミリーセンタードケア(FCC) [編集 小田 新]
1)NAVAの盛んなフィンランドTurku大学のFCC
2)わが国におけるFCCの現在とNAVA
第9章 NAVA文献集 [編集 小田 新]
1)基本の設定
2)基本の使い方
3)状況ごとの使い方
第10章 実際に使ってみよう! NAVAとNIV-NAVAの使い方[別冊] [編集 平田克弥]
1)通常時のメンテナンス
2)トラブル・機械の対処 まとめ
1)開発者から
Neurally Adjusted Ventilatory Assis(t NAVA)の始まり
2)日本導入の歴史
医療現場から
3)日本導入の歴史:メーカーとして
NAVAの国内販売までの道のり
第2章 新生児とNAVA [編集 小田 新]
1)呼吸の基本と新生児の呼吸の特徴
2)新生児における人工呼吸の基本と問題点
3)なぜNAVAなのか:“NAVA推し”のワケ
第3章 NAVAの基本としくみ,使い方 [編集 小田 新]
1)Ediの基本
2)NAVAの基本
3)NIV-NAVAの基本
4)モニターの基本
5)NAVAの使い方
6)NIV-NAVAの使い方
7)NAVA,NIV-NAVAのメリット・デメリッ
第4章 NAVA,NIV-NAVAの看護 [編集 加藤勇太]
1)NAVAと看護:その視点と影響,注目点
2)NAVAの使用方法〜看護ver.〜
3)NIV-NAVAの使用方法〜看護ver.〜
4)NAVA,NIV-NAVAの教育方法,留意点
第5章 NAVA,NIV-NAVA症例集 [編集 平田克弥]
1)うまくいったケース:NAVA
2)うまくいったケース:NIV-NAVA
3)うまくいかなかったケース:NAVA
4)うまくいかなかったケース:NIV-NAVA
第6章 NAVApedia The Q&A for NAVA [編集 友滝清一]
設 定
適 応
体 格
Ediカテーテルの固定1
Ediカテーテルの固定2
Ediカテーテルのセンシング不良
Ediカテーテルの挿入
Ediカテーテル交換時期
Ediカテーテルの合併症
Ediカテーテルからの注入(栄養・薬剤)
SpO2低下時の対応
NIV-NAVAと経口哺乳
NAVAへの切り替え
NAVAを始めるときの工夫
「NAVA経験値」を下げない工夫
Ediを呼吸以外に活かす方法(診療編)
Ediを呼吸以外に活かす方法(看護編)
診断への活用
HFOV対NAVA
NAVAの加湿問題
Ediカテーテルと体位変換
コード類:ケア時の工夫
第7章 NAVAいろいろ 〜となりのNAVA〜 [編集 山田洋輔]
1)各施設のポリシー,テクニック
2)各施設 設定早見表
第8章 NAVAとファミリーセンタードケア(FCC) [編集 小田 新]
1)NAVAの盛んなフィンランドTurku大学のFCC
2)わが国におけるFCCの現在とNAVA
第9章 NAVA文献集 [編集 小田 新]
1)基本の設定
2)基本の使い方
3)状況ごとの使い方
第10章 実際に使ってみよう! NAVAとNIV-NAVAの使い方[別冊] [編集 平田克弥]
1)通常時のメンテナンス
2)トラブル・機械の対処 まとめ
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NICU で管理する新生児の呼吸管理として注目を集めているNAVA(neurally adjusted ventilatory assist,神経調節補助換気)に特化した初めてのテキスト。
医師による管理の基本と匙加減,看護師によるケアの基本と重要項目,臨床工学技士によるメンテナンス解説など,新生児の呼吸管理に関わる多職種にむけてNAVAの呼吸器モード,基本をわかりやすく解説。症例集,Q&A,各施設の設定紹介など,臨床に則した具体的な内容を多彩に解説。
マニュアル的なNAVAの使い方/トラブルへの対処法/機器メンテナンスの章は,機械のそばに置いておける別冊仕立てとなっている。