泌尿器科周術期管理のすべて
第3版
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- B5判 280ページ 2色,イラスト50点,写真150点
- 2024年3月31日刊行
- ISBN978-4-7583-1339-1
電子版
序文
第3版 序文
手術を首尾良く成功させるためには,手術手技に習熱することは論を俟たない。同時に,術前評価,併存症のコントロール,説明と同意,周術期管理,合併症の予防,退院・社会復帰に向けたリハビリ,などがスムースに実践されなければならない。外来初診時に患者さんを診察室へ招き入れたときから評価は開始されている。すべてのステップにおいて看護師や他のメディカルスタッフと良好なコミュニケーションを築いて緊密なチーム医療を実践することが重要である。この連携プレーが良質な医療の提供へつながり,患者さんだけでなく医療スタッフの満足度を高める。
2004年初版の『泌尿器科周術期管理のすべて』は,一般の手術書とは異なり「周術期管理」というユニークで実践的な視点から企画された教科書である。泌尿器科医だけでなく,手術に携わるメディカルスタッフにも好評を得た。その後の低侵襲手術の開発・普及に伴い,2013年に改訂版『新 泌尿器科周術期管理のすべて』が発刊された。最近ではロボット支援手術の適応拡大,普及により,従来の泌尿器科術式は大きく様変わりしている。これらを背景に今回,10年ぶりに大幅な改訂を行った。『第3版 泌尿器科周術期管理のすべて』の主な特徴は以下の通りである。
1. 総論。高齢者手術の増加を背景に,高齢者の術前アセスメントの一層の充実を図った。COVID-19パンデミックの経験を踏まえ,パンデミック時の泌尿器科周術期管理を新たに追加した。術後の社会復帰を念頭に,癌の手術後のリハビリテーションの項目を設けた。周術期の感染予防,血栓予防,認知症・せん妄患者の周術期管理,ERASについても最新知見を盛り込んだ。
2. エンドウロロジー。PNLとTULの同時手術,MIST,上部尿路腫瘍焼灼術を新たに追加した。
3. 腹腔鏡手術・ロボット支援手術。ロボット支援手術の保険適用拡大により,従来の腹腔鏡手術からロボット手術への移行が加速している。手術アプローチとしては基本的に同じであることから周術期管理では両者を区別せずに解説するようにした。
4. オープンサージャリー。腹腔鏡手術・ロボット支援手術が行われる術式では,その適応外の手術を中心に解説した。オープンの前立腺全摘術はほとんど行われていないことから削除した。
5. 小児泌尿器科手術。逆流防止手術,尿道下裂手術,停留精巣の手術に限定し,手術によっては腹腔鏡手術を中心として解説した。
この他,「説明と同意」文書やクリニカルパスは,web上からダウンロード出来るように工夫した。メディカルスタッフのため,随所に「看護のTips」を設けた。
第3版においても,第一線で活躍されている経験豊富な方々に執筆をお願いした。通常の手術書には書かれていない周術期管理のノウハウがぎっしり詰まっている。泌尿器科手術に携わる多くのスタッフに広く活用されることを期待したい。
2024年3月
荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
古家琢也
手術を首尾良く成功させるためには,手術手技に習熱することは論を俟たない。同時に,術前評価,併存症のコントロール,説明と同意,周術期管理,合併症の予防,退院・社会復帰に向けたリハビリ,などがスムースに実践されなければならない。外来初診時に患者さんを診察室へ招き入れたときから評価は開始されている。すべてのステップにおいて看護師や他のメディカルスタッフと良好なコミュニケーションを築いて緊密なチーム医療を実践することが重要である。この連携プレーが良質な医療の提供へつながり,患者さんだけでなく医療スタッフの満足度を高める。
2004年初版の『泌尿器科周術期管理のすべて』は,一般の手術書とは異なり「周術期管理」というユニークで実践的な視点から企画された教科書である。泌尿器科医だけでなく,手術に携わるメディカルスタッフにも好評を得た。その後の低侵襲手術の開発・普及に伴い,2013年に改訂版『新 泌尿器科周術期管理のすべて』が発刊された。最近ではロボット支援手術の適応拡大,普及により,従来の泌尿器科術式は大きく様変わりしている。これらを背景に今回,10年ぶりに大幅な改訂を行った。『第3版 泌尿器科周術期管理のすべて』の主な特徴は以下の通りである。
1. 総論。高齢者手術の増加を背景に,高齢者の術前アセスメントの一層の充実を図った。COVID-19パンデミックの経験を踏まえ,パンデミック時の泌尿器科周術期管理を新たに追加した。術後の社会復帰を念頭に,癌の手術後のリハビリテーションの項目を設けた。周術期の感染予防,血栓予防,認知症・せん妄患者の周術期管理,ERASについても最新知見を盛り込んだ。
2. エンドウロロジー。PNLとTULの同時手術,MIST,上部尿路腫瘍焼灼術を新たに追加した。
3. 腹腔鏡手術・ロボット支援手術。ロボット支援手術の保険適用拡大により,従来の腹腔鏡手術からロボット手術への移行が加速している。手術アプローチとしては基本的に同じであることから周術期管理では両者を区別せずに解説するようにした。
4. オープンサージャリー。腹腔鏡手術・ロボット支援手術が行われる術式では,その適応外の手術を中心に解説した。オープンの前立腺全摘術はほとんど行われていないことから削除した。
5. 小児泌尿器科手術。逆流防止手術,尿道下裂手術,停留精巣の手術に限定し,手術によっては腹腔鏡手術を中心として解説した。
この他,「説明と同意」文書やクリニカルパスは,web上からダウンロード出来るように工夫した。メディカルスタッフのため,随所に「看護のTips」を設けた。
第3版においても,第一線で活躍されている経験豊富な方々に執筆をお願いした。通常の手術書には書かれていない周術期管理のノウハウがぎっしり詰まっている。泌尿器科手術に携わる多くのスタッフに広く活用されることを期待したい。
2024年3月
荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
古家琢也
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目次
Ⅰ 総論
高齢者の術前アセスメント(高齢者の包括的評価を中心に)
パンデミック時の泌尿器科周術期管理
周術期感染症予防と抗菌薬の使い方
周術期静脈血栓症の予防と対策
抗血栓療法患者の周術期管理
認知症やせん妄を伴う患者の周術期管理
術後回復能力強化プログラムERAS®の活用
泌尿器癌の周術期リハビリテーション
Ⅱ エンドウロロジー
腎癌の穿刺焼灼療法
PNL(腎瘻造設を含む)
TUL
PNLとTUL同時手術(ECIRS)
TURBT(PDD補助下を含む)
ハンナ型間質性膀胱炎手術/膀胱水圧拡張術
TURP/TUEB
HoLEP
PVP
MIST
経尿道的上部尿路腫瘍焼灼術
Ⅲ 腹腔鏡手術・ロボット支援手術
副腎摘除術
腎摘除術/腎尿管全摘除術
腎部分切除術
腎盂形成術
前立腺全摘除術
膀胱全摘除術(尿道摘除術を含む),回腸導管造設術
膀胱全摘除術,新膀胱造設術
後腹膜リンパ節郭清術
後腹膜腔鏡下ドナー腎採取術
仙骨腟固定術
Ⅳ オープンサージャリー
腎移植術
副腎摘除術(腹腔鏡下手術適応外)
根治的腎摘除術(腹腔鏡下手術適応外)
腎部分切除術
腎盂尿管の手術(腹腔鏡下手術適応外)
膀胱全摘除術+尿路再建術
後腹膜リンパ節郭清術
陰茎癌の手術
尿失禁の手術(TOT, TVT)
瘻孔閉鎖手術(膀胱腟瘻,膀胱直腸瘻を中心に)
尿道憩室の手術
人工尿道括約筋植込術
erectile dysfunctionの手術
陰茎持続勃起症の手術
男性不妊症の手術
外傷の手術
尿道狭窄症に対する尿道再建術(待機的手術)
Ⅴ 小児泌尿器科手術
膀胱尿管逆流に対する腹腔鏡・ロボット支援手術
尿道下裂の手術
停留精巣の手術(腹腔鏡下手術を含む)
高齢者の術前アセスメント(高齢者の包括的評価を中心に)
パンデミック時の泌尿器科周術期管理
周術期感染症予防と抗菌薬の使い方
周術期静脈血栓症の予防と対策
抗血栓療法患者の周術期管理
認知症やせん妄を伴う患者の周術期管理
術後回復能力強化プログラムERAS®の活用
泌尿器癌の周術期リハビリテーション
Ⅱ エンドウロロジー
腎癌の穿刺焼灼療法
PNL(腎瘻造設を含む)
TUL
PNLとTUL同時手術(ECIRS)
TURBT(PDD補助下を含む)
ハンナ型間質性膀胱炎手術/膀胱水圧拡張術
TURP/TUEB
HoLEP
PVP
MIST
経尿道的上部尿路腫瘍焼灼術
Ⅲ 腹腔鏡手術・ロボット支援手術
副腎摘除術
腎摘除術/腎尿管全摘除術
腎部分切除術
腎盂形成術
前立腺全摘除術
膀胱全摘除術(尿道摘除術を含む),回腸導管造設術
膀胱全摘除術,新膀胱造設術
後腹膜リンパ節郭清術
後腹膜腔鏡下ドナー腎採取術
仙骨腟固定術
Ⅳ オープンサージャリー
腎移植術
副腎摘除術(腹腔鏡下手術適応外)
根治的腎摘除術(腹腔鏡下手術適応外)
腎部分切除術
腎盂尿管の手術(腹腔鏡下手術適応外)
膀胱全摘除術+尿路再建術
後腹膜リンパ節郭清術
陰茎癌の手術
尿失禁の手術(TOT, TVT)
瘻孔閉鎖手術(膀胱腟瘻,膀胱直腸瘻を中心に)
尿道憩室の手術
人工尿道括約筋植込術
erectile dysfunctionの手術
陰茎持続勃起症の手術
男性不妊症の手術
外傷の手術
尿道狭窄症に対する尿道再建術(待機的手術)
Ⅴ 小児泌尿器科手術
膀胱尿管逆流に対する腹腔鏡・ロボット支援手術
尿道下裂の手術
停留精巣の手術(腹腔鏡下手術を含む)
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これ1冊で泌尿器科における周術期管理のすべてを解説
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ロボット支援手術の適応拡大・普及により大きく様変わりした周術期管理を踏まえて,高齢者の術前アセスメント,パンデミック時の対応,癌の手術後のリハビリテーションや,PNLとTULの同時手術,MIST,上部尿路腫瘍焼灼術を新たに追加。また周術期の感染予防,血栓予防,認知症・せん妄患者の周術期管理,ERASについても最新知見を盛り込んでアップデートし,さらに「看護のTips」も随所に記載。
また周術期管理には欠かせないインフォームドコンセント用の文書やクリニカルパスの実例もダウンロード可能とし,通常の手術書には書かれていない最新の周術期管理のノウハウも満載。
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